オールマイティな時計 #Submariner

オールマイティな時計
#Submariner

世界最初の軍用ミッションウォッチはパネライだが、回転ベゼルを備えた世界初の市販ダイバーズウオッチはサブマリーナ―だ。現在、世界中のブランドから無数のダイバーズが発売されているが、その多くはパネライではなく、サブマリーナ―に似ている。

潜水用腕時計という最も機能性は要求されるジャンルで、サブマリーナ―の機能的デザインは、次々と淘汰されていく他モデルをしり目に、最後まで生き残ったのだ。世界の人々がダイバーズウオッチと言われて思い浮かべる時計は、おそらくサブマリーナ―が最も多いだろう。

創造を絶する水圧に耐えるため、ダイバーズウオッチは堅牢性もズバ抜けている。しかし、過酷な環境で無類の強さを見せつける一方で、苦手としたのが冠婚葬祭などのフォーマルなシーン。だが、その常識さえもサブマリーナ―は軽々と突破した。なぜなら、ご存知ジェームズ・ボンドによって常識が覆された。英国紳士として最も厳格に服飾規定を守るべき立場にあって、1964年公開の「ゴールドフィンガー」で、ディナータキシードにサブマリーナ―を合わせてしまった。しかも、その姿があまりにも決まっていた。本来は瞬時の視認性も確保するための黒文字盤+黒ベゼルだが、ジェームズ・ボンドが着けると、極めて紳士然と見えたから不思議だ。

現在、よほど厳格なドレスコードでなければ、タキシードにスポーツウォッチをコーディネートしても容認されるが、これはサブマリーナ―が先駆とも言える。言い換えれば、最高にオールマイティな時計だ。